出典:環境省[手続き編]猟具の所持方法(猟銃、わな・網)
猟銃所持のためには、銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という。)に基づき、講習会の受講や考査への合格等が必要になります。
※講習会の受講や考査に合格する必要があります。
※所持に際し、警察による各種調査が行われます。
※所持後、14日以内に管轄警察署に持参し、
猟銃の確認を受けなければなりません。
※猟具の所持に関する手続きは不要です。
猟具の購入先、製作方法等は、猟友会に
お問い合わせください。
出典:環境省[ギモン解決編]猟具の入手方法、保管方法(銃猟)
銃猟を始めるにあたってのお役立ち情報をハンターでGUNライターの小堀ダイスケさん(一般社団法人栃木県猟友会)にお聞きしました。
銃で狩猟をするには、「狩猟免許」と、「銃砲所持許可」が必要です。銃猟を行うための狩猟免許には第1種と第2種があり、第1種は装薬銃と空気銃、第2種は空気銃のみを使って狩猟を行うことができます。
装薬銃というのは散弾銃やライフル銃など、火薬の爆発力によって弾を撃ち出す銃のことで、空気銃は圧縮空気(および液化ガス)の力で弾を撃ち出す銃です。
狩猟免許は住所のある都道府県で試験を受け、合格すると都道府県知事から免許状が交付されます。ただし、これはあくまでも狩猟という行為に対する免許であり、狩猟に使う銃を所持するには、住所地の公安委員会(都道府県警察)から許可を受けなければなりません。
また、わな猟や網猟と同じく、狩猟期間ごとに、狩猟を行う各都道府県へ狩猟者登録をする必要もあります。
第一種銃猟狩猟免状。
A4版の大きさで、運転免許証などと違い携帯する必要はありません。ただし、狩猟の際には狩猟者登録証及び狩猟者記章の携帯が必要です。
猟銃空気銃所持許可証。
手帳になっており、所持許可が下りた銃のデータが中のページに書き込まれます。こちらは狩猟中も必ず携帯しなければいけません。
我が国では、銃砲刀剣類所持等取締法(以下銃刀法)によって、すべての国民に対し銃の所持が禁止されています。
ただし様々な例外があり、ハンターが狩猟や有害鳥獣駆除、標的射撃などに使用する場合は、所持許可が下りることになっています
許可には多くの基準が設けられ、具体的には満20歳以上で、まずは公安委員会が行う「猟銃等講習会」の考査と、猟銃であれば、実際に射撃を行う「射撃教習」を受講しなければなりません。
さらに、薬物やアルコール中毒、精神疾患ではないことなどを証明する医師の診断書や、破産していないことを証明する市町村発行の身分証明書など、多くの書類や手続きが必要です。
また、銃の所持はあくまでも許可制であり免許ではないため、他人と銃や弾の貸し借りをすることも禁止されています。
射撃教習の様子。
射撃場で一時的に銃を借りる認定を受け、実際に標的射撃を行います。銃の安全な取り扱いと、クレー射撃の場合は25発中2〜3発(種目によって異なる)命中させれば合格です。
医師の診断書。
書式が決まっており、様々な条件に該当しない、ということを証明する物です。かかりつけ医で書いてもらうことができます。
身分証明書。
市町村が発行し、破産などの状態ではないことを証明する書類です。
狩猟用として所持許可が下りる銃は、空気銃、散弾銃(その他の猟銃を含む)、ライフル銃の3種類です。
空気銃は単弾のため、その場にとどまっている鳥(居鳥)を撃つのに使用します。高威力の空気銃なら、わな猟の止めさしにも使えます。
散弾銃は、粒状の散弾を火薬の爆発力で撃ち出すので、飛行するカモやキジなどを撃ち落とすことができます。また、スラッグという単弾も使用可能で、シカやイノシシなどの大物猟にも幅広く使えるのが特徴です。
ライフル銃は単弾を使いますが、散弾銃に比べて威力がきわめて大きいため、対象となる獲物はシカ、イノシシ、クマ(ヒグマ)に限られます。また、ライフル銃の所持は原則として散弾銃の継続所持10年以上という条件があり、初心者が最初に所持することはできません。
その他の猟銃は、散弾銃の銃身長の半分以下にライフル銃と同様のライフリング(腔旋)が刻まれた銃です。専用のサボットスラッグ弾を使うことで、通常の散弾銃とスラッグの組み合せより有効射程距離が伸び、命中精度も上がります。獲物はシカやイノシシで、散弾銃と同様の要件で所持が可能です。
散弾銃(上下二連式[上]と自動式[下])。もっとも一般的な狩猟用の銃で、第一種銃猟免許が必要です。銃の中ではもっとも万能で、使用する弾を変えることで鳥猟から大物猟まで使えます。
左から410番、20番、12番の散弾実包。現在は12番がもっとも一般的ですが、反動の少ない20番を使うハンターも少なくありません。
ボルト式ライフル銃。口径や使用する実包によって差はありますが、通常、300m以内であればじゅうぶん有効射程距離となるほどの高い威力をそなえています。
各種ライフル実包。先端の弾頭部分のみが発射されます。右上は獲物に命中した弾頭で、つぶれることで威力が増す仕組みになっています。
銃猟を始めるまでには、各種試験や考査、教習などの手数料がかかります。概算金額を下記にまとめたのでご参照ください。
空気銃と猟銃で大きく違うのは、射撃教習の受講と装弾ロッカーの有無です。猟銃を所持するためには、射撃教習を受けなければなりません。
また、自宅ガンロッカーの設置は空気銃、猟銃ともに義務ですが、猟銃のみ弾を保管する装弾ロッカーが必要です。
医師の診断書は自由診療のため値段にかなり開きがあり、かかりつけの病院で確認しておきましょう。
銃そのものの値段も、中古銃と新銃ではかなり値段が違います。先輩ハンターから不要になった銃を譲り受ける場合、大日本猟友会から支援金が出る制度もありますので、利用してみるのも良いでしょう。
自分の銃は自宅保管が原則で、専用のガンロッカーが必要です。ガンロッカーの仕様については法律で細かく定められており、一般的な事務用ロッカーなどでは代用出来ません。
ガンロッカーを設置する際、ボルトなどで壁に固定しなければならないため、賃貸住宅の場合は管理会社の許可が必要になります。ただし、内部に相当量の重りを入れて、ガンロッカーの移動がきわめて困難であると判断されれば、許可が下りる場合もあります。
どうしても自宅保管ができない場合、銃砲店に委託保管をする事も可能です。受け取りや預けに時間的な制限があることや、料金がかかることなど、いくつかの問題はありますが、検討してみる価値はあるでしょう。
また、長期出張で不在になる時なども、委託保管の利用はとても有効です。
銃を所持するためには、専用ガンロッカーの設置が義務付けられています。
銃を所持した状態で引っ越しをすると、新たな住所地の所轄警察生活安全課で、住所変更の手続きが必要です。引っ越し後、ガンロッカーの設置が適正にされているか、担当者が立入検査をする場合もあります。
銃の運搬は自分で行う事が原則ですが、それが難しい場合は、貨物自動車運送事業者に委託する事が出来ます(郵便局を除く)。引っ越し業者に頼む際は、事前に確認しましょう。
また、引っ越しは不特定多数の人間が自宅に出入りする事になります。銃が盗難にあわないよう、状況によっては一定期間、銃砲店に委託保管しておくのも選択肢のひとつです。
仕事や諸般の事情で転勤族だとしても、銃を所持し続けることは可能ですので、安心して銃猟の趣味を続けてください。
銃の所持許可は有限で、3年ごとに更新が必要です。更新申請をするには「猟銃等講習会」と「技能講習」を受講しなければなりません。
猟銃等講習会は初心者の時とは違って考査がなく、受講のみでOKです。技能講習の内容は、初心者の時に受講した「射撃教習」と基本的には同じですが、銃は自分の物を使います。合否判定があり、銃の安全な取り扱いや射撃技術について再確認する、という意味合いがあります。
更新では、いくつかの書類を省略できる場合がありますが、医師の診断書は毎回必要です。
また、初心者の時と同じく、家族や勤め先、近所などへの聞き込み調査も行われます。3年間の間に、何か変わったことがないかを調べるわけですが、普段から正しい生活態度を心がけておきましょう。
左、初心者が受ける猟銃等講習会(初心者講習)で使われるテキスト。右、更新のため受ける際に使われるテキスト。考査が行われるのは初心者講習だけです。
銃や弾を買うためには、まず銃砲店へ行くことになります。最近ではホームページを持つ銃砲店も増えているので、検索してみるといいでしょう。
銃砲店は銃や弾を売るだけではなく、貴重な情報収集の場ともなっています。所持許可申請に必要な書類を用意してくれたり、地元猟友会の窓口になっていることも多く、ハンターとは重要な関係だといっても過言ではありません。
もちろん、近所にお店がない場合は、通信販売で買うこともできます。また、銃や弾は手続きを経て個人間で譲渡することも可能です。
銃砲店には様々な銃が展示してあります。
銃砲店では手続きの際に必要な心構えなど、具体的なアドバイスをしてくれます。
狩猟や有害鳥獣捕獲以外では、「標的射撃」として銃を撃つことができます。全国にある指定射撃場で、「クレー射撃」「スラッグ射撃」「ライフル射撃」「エアライフル(空気銃)射撃」などが可能です。
クレー射撃は、猟銃の所持許可申請の際、射撃教習として行うもので、鳥に見立てた直径約11cmの円盤を機械で空中に飛ばし、散弾銃で撃破します。それ以外の射撃では、紙の標的を一定の距離に立て、単弾で的の中心部を狙います。
ハンターには、射撃技術の向上につとめる義務があり、猟銃の更新申請に必要な技能講習にも合格しなければなりません。普段から積極的に標的射撃を行って、自分の銃に慣れ、ウデを磨きましょう。
猟友会支部などが射撃大会を開催することも多く、そうしたイベントに参加することは、狩猟仲間を見つけたり、情報交換の場としても有意義です。
クレー射撃では散弾銃を使います。「トラップ射撃」と「スキート射撃」の2種目があり、教習射撃の際も
標的となるクレーは、割れやすい材質でできた直径約11cmの円盤です。散弾が当たると空中で砕け散ります。
その他の射撃では、紙の標的を決められた距離に立てて中心を狙います。
銃を持っていきなり猟野へ出かけても、そう簡単に獲物には出会えません。狩猟期間以外にどれだけ下見をしておくかが、猟果を左右するポイントなのです。
具体的には、鳥獣保護区等位置図(通称:ハンターマップ、都道府県自然環境課で配布)を見て銃猟禁止区域などを確認し、まず、どこで銃猟ができるのかを確認しましょう。
その上で、どこにどんな獲物がどの時間帯に見られるのか、記録してデータを蓄積します。
大物猟であれば、トレイルカメラの活用も有効です。鳥猟の場合、狩猟鳥と非狩猟鳥をとっさに見分けるのが難しいため、普段からの訓練が重要になります。
また、矢先(銃を向けた先)に道路や建物がないか、スマホの地図アプリで確認しながら猟場を歩いてみるのもいいでしょう。狩猟解禁前から、すでに狩猟ははじまっているのです。
定猟具使用禁止(銃)の看板。以前は銃猟禁止区域と書かれていました。どちらも銃による狩猟ができないという意味 です。
鳥獣保護区の看板。銃だけではなく、わなや網といった他の法定猟具も使用できません。
鳥獣保護区等位置図(ハンターマップ)はいくつかに色分けされており、暗色で塗られた場所は特定猟具使用禁止区域(銃)、赤い場所は鳥獣保護区です。
銃猟や標的射撃をする場所へ向かうため、電車やバスなどを利用することは可能です。移動時は銃をしっかりとしたケースに収納し、身体から離さないように持ち歩くことが求められます。
弾については、弾帯(専用の装弾収納ベルト)または薬ごう(フタ付きのしっかりとしたケース)に入れた状態であれば、電車なら200発、バスの場合は50発まで持ち運ぶことができます。
気をつけなければいけないのがナイフで、猟場へ到着するまでの間は、単にケースに入れるだけではなく、カギ付きのポーチや、最低でも布でくるんで何重にも縛るなど、「すぐに取り出せない状態」にしておくことが重要です。
もちろん、銃砲所持許可証と、狩猟者登録証、狩猟者記章を携帯するのはいうまでもありません。
電車やバスの移動では、持ち運べる弾の数に上限があるため注意が必要です。猟場で使うナイフを携帯する場合は、カギのかかる入れ物に入れて「すぐに取り出せない状態」にしておかなければいけません。
獲物に命中してもすぐに止まらず、そのまま逃げられてしまうことを「半矢」といいます。
半矢であっても獲物を最後まで追跡し、捕獲することがハンターの義務なので、確実に止められる自信がない場合は、撃たないという判断も重要です。
また、獲物については基本的に持ち帰り、持ち帰れない場合は埋設処分するなど、適切な処理をしなければなりません。あらかじめ、そうした対応ができる場所なのかどうか、確認しておきましょう。
獲物を見つけて、安全を確認し、確実に止めて、しっかりと回収するまでが銃猟です。ハンターたるもの、大切な自然や生態系に悪影響をおよぼすことのないよう、正しい捕獲を心がけたいものです。
わな猟って、どうやって始めるのか、猟具はどうやって手に入れればよいかなどをわな猟師のMさん(猟歴18年)にお聞きしました。
わなを仕掛ける場所を探して歩きます。