狩猟鳥獣一覧

我が国に生息している約550種の鳥類、約80種の獣類の中から、 狩猟鳥類26種、狩猟獣類20種が定められています。

※オオバン、ドバト、ツグミ、ウズラ、ニホンザル、イタチ(メス)、ニホンリス、ムササビ、モモンガなどは、狩猟対象ではありません。

※鳥獣のイラストと説明文には著作権(大日本猟友会)があります。無断での複製や転載を禁じます。

※は外来種
キジ目キジ科

エゾライチョウキジ目キジ科

分布

北海道のみに分布。留鳥

捕獲制限数

1日2羽

特徴

全長は約40cmで、胴体はカラスよりやや小さい。雌雄同色・同大で、ライチョウと異なり羽色の季節変化はない。全体が褐色で、細かい黒褐色や赤褐色の斑紋が点在する。 オスののどは黒色でその周囲を白色帯が取り巻いている。頭頂には短い冠羽があり、緊張すると立ち上がって目立つようになる。

習性

平地から山地にかけての森林域に生息し、特に針葉樹林等の林床に多い。驚くと、林床から飛び上がって近くの樹木の下枝に止まり、周囲の様子を伺うことが多い。ライチョウと異なり、ハイマツ林や高山草原などには見られない。 雑食性で、主に陸上でナナカマド・ノブドウの実や昆虫などを食べる。体の割合に飛び立ちの羽音が大きく、低く直線的に飛ぶ。地上に営巣。笛のような声で鳴く。

ヤマドリキジ目キジ科

分布

北海道と沖縄を除き、全国的に分布。留鳥。人工養殖されたものが各地で放鳥されている。

捕獲制限数

ヤマドリ・キジ(亜種のコウライキジを含む)の合計が1日2羽。ヤマドリの捕獲を目的とした放鳥獣猟区以外では、ヤマドリのメスの捕獲は禁止されている。

特徴

全長はオスが約120cm、メスが50cmで、胴体はカラスぐらいの大きさ。長い尾を持つ。雌雄異色・オス大。オスは全体的に赤褐色で、眼の周囲に赤い裸出部があり、尾が著しく長い。オスの体色などから、幾つかの亜種に分類されていて、南方のものほど赤みが強くなる。 また、メスは全体的に茶褐色で、眼の周囲の裸出部はオスより小さく灰褐色。尾羽は短めで、飛翔時には赤味の強い褐色で、先端が白いことが特徴的。

習性

主として山地の森林域に生息し、特に沢沿いの湿気の多い茂った森林でよく見られる。驚くと下方の谷筋に向かって降下する習性がある。雑食性で、主に木の実や緑餌を地上で食べる。

類似種とその識別

全体赤褐色で尾の長いオスには特に識別に困る類似種はない。ヤマドリのメスはキジのメスに似ているが、地色が濃いこと、尾羽がより短く、赤みが強いこと、主たる生息環境が異なることなどによりキジのメスと区別できる。

キジ(亜種のコウライキジを含む)キジ目キジ科

分布

キジ(亜種のコウライキジを除く)は、北海道と沖縄を除き、全国的に分布。留鳥。国鳥とされている。亜種のコウライキジは中国・朝鮮半島原産の移入種。対馬と北海道に狩猟の対象として放鳥した結果、野化したもの。

捕獲制限数

ヤマドリ・キジ(亜種のコウライキジを含む)の合計が1日2羽。キジの捕獲を目的とした放鳥獣猟区以外では、キジのメスの捕獲は禁止されている。

特徴

全長はオスが約80cm、メスが約60cmで、胴体はカラスぐらいの大きさ。長い尾を持つ。 雌雄異色・オスやや大。オスは全体的に緑色で、長い尾と、顔に赤く大きな裸出部があることが特徴で、首から腹部にかけての光沢の強い暗緑色と、背部の明るい青灰色とのコントラストが目立つ。メスは、全体的に茶褐色で、細かい黒色小斑が点在している。

習性

平地から山地にかけての草原や農耕地、河川敷などに生息し、耕地付近の明るい林などでよく見られる。植物質及び動物質のものを食べる雑食性で、地上で採食することが多い。

類似種とその識別

オスは独特の配色と長い尾羽から細別に困る種はない。メスはヤマドリのメスに似ているが、地色が薄く、尾羽がより長く、赤みを欠くこと、主たる生息環境が異なることなどによりヤマドリのメスと識別できる。

コジュケイ キジ目キジ科

分布

北海道、沖縄を除き、全国的に分布。留鳥。東北や北陸などの雪の多い地方には少ない。中国原産の移入種。 狩猟鳥としての保護増殖を図るため、以前は、各地で放鳥が行われていた(特に1955年ごろから十数年間、大日本猟友会が三宅島(東京都)で生け捕りにしたものを全国各地に供給した結果、全国的に分布するようになった)。

捕獲制限数

1日5羽

特徴

全長は約30cmで、胴体はハトぐらいの大きさ。尾は短い。雌雄同色・同大。体は褐色で、ほおが赤くてその上下が青灰色であること、黄褐色の腹部に丸みのある黒色横斑があることが特徴。体型も丸みを帯びている。

習性

平地から山地にかけての雑木林や農耕地、河川敷などに生息し、人家付近の竹やぶや雑木林などで数羽から十数羽の群れをつくっていることが多い。追われた時は、一群が一斉に飛び立ち、地面に沿って低く直線的に飛ぶ。 チョットコイと聞きなしができる高い声でよく鳴く。雑食性で、主に地上で採食。ソバ等の農作物に加害することがある。営巣場所は林床などの草むら。

カモ目カモ科

ヨシガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来するが、本州中部以南に多い。冬鳥。ただし、北海道では少数が繁殖。

特徴

全長は約50cmで、胴体はカラスよりやや小さい中型のカモ。雌雄異色・オス大。オスは、灰色の体部、光沢のある栗褐色の頭部、長い冠羽、白いのど、長くみの状に垂れ下がった三列風切などが目立つ。 メスは、他のカモ類のメスと同様に、全体が褐色の地味な色調だが、やや茶色みがかった褐色で、頭部が灰色がかっている。

習性

陸ガモの一種で、水面に浮いたまま採餌を行う。植物食。湖沼や河川、内湾などにいることが多い。通常、あまり大きな群れはつくらない。 マガモやコガモなどと異なり、小さな水域には少ない。夜間、草地や農地などに採食のために飛来するものがある。オスはピュルルピュルル、メスはグワッグワッと鳴く。

類似種とその識別

メスは地味な色調のため、識別がやや難しいが、他種と異なり、目立たない冠羽と灰色がかった頭部により、区別できる。

ヒドリガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来するが、北海道では厳冬期には少なくなる。冬鳥。

特徴

全長は約50cmで、胴体はカラスよりやや小さい中型のカモ。雌雄異色・オス大。 オスは、赤褐色の頭部と額から頭頂にかけてのクリーム色、灰色の休部とのコントラストが目立つ。メスは他のカモ類のメスと同様に、全体が褐色の地味な色調だが、やや赤みがかった褐色。

習性

陸ガモの一種で、水面に浮いたまま採餌を行う。植物食。湖沼や河川などにいることが多いが、アオサの茂る干潟域でも普通に見られる。 夜間、草地や農地などに採食のために飛来するものが多い。海苔の養殖場に加害することがある。ピューイ、という大きく通る鳴声で存在を知ることも多い。

類似種とその識別

メスは地味な色調のため、識別がやや難しいが、他種と異なり、くちばしが小さく、先端が黒くてその他の部分は青灰色であること、脇腹は赤みが強く、斑の入らない一様なのっぺりした色調であることなどにより区別できる。

マガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来。冬鳥。ただし、本州の山地や北海道では少数が繁殖。

特徴

全長は約60cmで、胴体はカラスよりやや大きい。カモ類では、カルガモと並んで大型。雌雄異色。オスの方がメスよりやや大きい。 オスは、緑色の頭部、白い首輪、鮮やかな黄色いくちばしが目立つ。また、カルガモと同様に、飛翔時に翼の下面の白が目立つ。メスは他のカモ類のメスと同様に、全体が褐色の地味な色調。

習性

陸ガモの一種で、水面に浮いたまま採餌を行う。植物食。日中は、河川や湖沼などの水上にいることが多く、夜間、草地や農地などに採食のために飛来するものが多い。 ゲーイゲーイ、ググググ…などとよく鳴く。飛翔は直線的。営巣場所は地上(水辺近くの草むら)。

類似種とその識別

メスは地味な色調のため、識別がやや難しい。

カルガモ カモ目カモ科

分布

全国的に分布。留鳥。

特徴

全長は約60cmで、胴体はカラスよりやや大きい。カモ類ではマガモと並んで大型。狩猟鳥のカモ類の中では、カルガモのみが雌雄同色。オスの方がメスよりやや大きい。 全体が褐色で地味な色調だが、首が長めであること、黒っぽい過眼線(眼を前後に横切る線条)があること、くちばしは黒いが先端だけは黄色いこと、体の前方から後方にかけて徐々に黒みが増すこと、三列風切の縁が広くて白いことなどが目立つ。 また、マガモと同様に、飛翔時に翼の下面の白が目立つ。

習性

陸ガモの一種で、水面に浮いたまま採餌を行う。植物食。日中は、河川や湖沼などの水上にいることが多い。夜間、草地や農地などに採食のために飛来するものが多い。稲に加害する。飛翔は直線的。営巣場所は地上(水辺近くの草むら)。都心部の池や河川などでも繁殖することがある。

類似種とその識別

メスは地味な色調のため、識別がやや難しい。

ハシビロガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来するが、北海道では厳冬期には少なくなる。冬鳥。

特徴

全長は約50cmで、胴体はカラスよりやや小さい中型のカモ。雌雄異色・オス大。 オスは、赤褐色の頭部と額から頭頂にかけてのクリーム色、灰色の休部とのコントラストが目立つ。メスは他のカモ類のメスと同様に、全体が褐色の地味な色調だが、やや赤みがかった褐色。

習性

陸ガモの一種で、水面に浮いたまま採餌を行う。植物食。湖沼や河川などにいることが多いが、アオサの茂る干潟域でも普通に見られる。 夜間、草地や農地などに採食のために飛来するものが多い。海苔の養殖場に加害することがある。ピューイ、という大きく通る鳴声で存在を知ることも多い。

類似種とその識別

メスは地味な色調のため、識別がやや難しいが、他種と異なり、くちばしが小さく、先端が黒くてその他の部分は青灰色であること、脇腹は赤みが強く、斑の入らない一様なのっぺりした色調であることなどにより区別できる。

オナガガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来。冬鳥。

特徴

全長はオスが約75cm、メスが50cmで、胴体はカラスよりやや小さい中型のカモ。メスはオスよりも一回り小さい。雌雄異色。名前のとおり、尾羽が長いこと(オスは特に尾羽が長い)、細長い黒褐色の頭部、前面の白い首、灰色の体部などが目立つ。 メスは他のカモ類のメスと同様に、全体が褐色の地味な色調だが、やや灰色がかった褐色で、尾羽がやや長い。

習性

陸ガモの一種で、水面に浮いたまま採餌を行う。植物食。湖沼や河川などにいることが多い。夜間、草地や農地などに採食のために飛来するものが多い。しばしば大群をつくっている。オスはプリープリープリー、メスはクワックワッと鳴く。

類似種とその識別

メスは地味な色調のため、識別がやや難しいが、長い尾羽と特徴的な細長い体型により区別できる。

コガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来。冬鳥。ただし、本州の山地や北海道では少数が繁殖。

特徴

全長は約40cmで、胴体はハトよりやや大きい。日本産カモ類では最小。翼が長いので、飛翔中はハトよりかなり大きく見える。雌雄異色・同大。 オスは、白色の水平線を有する灰色の体と栗色の頭部、目の周囲から首の後ろにかけての緑色、尾部のクリーム色などが目立つ。メスは他のカモ類のメスと同様に、全体が褐色の地味な色調。

習性

陸ガモの一種で、水面に浮いたまま採餌を行う。植物食。湖沼や河川などの淡水域に多く、小河川や池沼などでも良く見かける。ヒュルヒュルという笛のような特徴的な鳴声を発する。 よくヨシなどの水際の植物の中に紛れ込んでおり、鳴声でその存在を知ることも多い。身が軽く、羽ばたきが速く、飛翔速度も速い。営巣場所は地上(水辺近くの草むら)。

類似種とその識別

メスは地味な色調のため、識別がやや難しい。小型のカモ類としては、他に非狩猟鳥のトモエガモがいる。

ホシハジロ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来。冬鳥。ただし、北海道では繁殖例もある。

特徴

全長は約45cmで、胴体はカラスより小さい中型のカモ。雌雄異色・オス大。雌雄ともに頭部の形状はオニギリ型である。 また、オスは、頭部が赤褐色で、灰色の体部とそれを挟む胸部および尾部の黒色が目立つ。メスも基本的にオスと同様の配色だが、より地味な色調で赤みを欠く。

習性

海ガモの一種。多くは内湾や湖沼などに生息するが、内陸の湖沼や大河川などでもみられる。キンクロハジロやスズガモと一緒にいることが多く、水中に潜水して水底の貝類等の動物質を採食する。クルルクルルと鳴く。

類似種とその識別

オスは他種と見間違えることは少ない。メスも、地味ではあるがオスに似た配色であること、頭部がオニギリ型の形状であることにより区別できる。

キンクロハジロ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来。冬鳥。ただし、北海道では少数が繁殖。

特徴

全長は約40cmで、胴体はハトよりやや大きい小型のカモ。雌雄異色・オスやや大。オスメスともに、後頭部に長い冠羽があり、眼が金色。また、オスは、黒色の体部と純白の脇腹とのコントラストが顕著で、くちばしは先端の黒色を除き青灰色である。 メスも基本的にオスと同様の配色だが、より地味な色調であり、全体がほぼ黒褐色で、冠羽はオスよりも短く、くちばしもより黒っぽい。

習性

海ガモの一種。内湾や湖沼などにいることが多いが、内陸の湖沼や大河川などでも見られる。ホシハジロやスズガモと一緒に群れをつくることが多い。水中に潜水して水底の貝類等の動物質を採食する。あまり鳴かない。営巣場所は地上(水辺近くの草むら)。

類似種とその識別

オスメスとも、色調がスズガモによく似ている。スズガモはより大型でくちばしや頭部が大きく、頭部の丸みが強くて冠羽がない。また、オスの背は、キンクロハジロでは黒色だが、スズガモでは明るい灰色である。

スズガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来。冬鳥。

特徴

全長は約45cmで、胴体はカラスよりやや小さい中型のカモ。雌雄異色・オス大。オスは頭部から胸部にかけてと尾部の周辺が黒色で、灰色の背部と純白の脇腹との明瞭なコントラストが目立つ。頭部の丸みが強く、眼は金色で、くちばしは大きく、鮮やかな青灰色だが先端は黒色。 メスも基本的にオスと同様の配色だが、より地味な色調で全体が黒褐色。くちばしも黒褐色で、先端近くに鈍い青灰色のバンドがあり、付け根の周囲が白色帯に囲まれている。

習性

海ガモの一種。内湾や河口、港湾などにいることが多いが、内陸の湖沼や大河川などでも見られる。ホシハジロやキンクロハジロと一緒に大群をつくっていることが多い。 主に動物食で、水中に潜水して水底の貝類などを食べる。あまり鳴かないが、オスはククーと小声で鳴き、メスはクルルクルルと鳴く

類似種とその識別

オスメスとも色調が狩猟鳥のキンクロハジロによく似ている。キンクロハジロは、小型で冠羽があること、頭部が扁平に見えることなどにより、スズガモと区別できる。 また、オスについては、背部が、スズガモでは明るい灰色だが、キンクロハジロでは黒色であることなどによっても区別できる。 非狩猟鳥のホオジロガモ、アカハジロ、ビロウドキンクロ、シノリガモなどのメスも、スズガモのメスと似た黒褐色の地色をしているが、いずれもスズガモのメスのようなくちばしの付け根の白色帯を欠くことで区別できる。

クロガモ カモ目カモ科

分布

全国的に渡来。冬鳥。

特徴

全長は約50cmで、胴体はカラスよりやや小さい中型のカモ。雌雄異色・オス大。オスは全体が黒色で、くちばしも黒いが、付け根の上面に鮮やかな黄色のコプが目立つ。メスは地味な色調で、全体がほぼ暗褐色だが、ほおから首の前にかけては汚白色。

習性

海ガモの一種。沿岸などに生息し、特に外洋に面した急崖の海岸に多い。通常は、内陸の湖沼などでは見られない。主に動物食で、水中に潜水して水底の貝類などを食べる。オスはピー、クイ、メスはクルルルと鳴く。

類似種とその識別

オスは他種と見間違えることは少ない。非狩猟鳥のビロウドキンクロも全身がほぼ黒色だが、ビロウドキンクロは眼の周囲や翼に白色部があり、くちばしの色や形状も異なることから区別できる。 オオバンも全身が黒色であるが、オオバンはくちばしと額(額板)が白く、淡水域に生息するため、区別できる。/p>

ハト目ハト科

キジバト ハト目ハト科

分布

全国的に分布。留鳥。雪の多い地域では、冬期に南下する。

捕獲制限数

1日10羽

特徴

全長は約33cmで、胴体はハトぐらいの大きさ。雌雄同色・同大。全体が明るい茶褐色で、首の側面に黒色と淡褐色~灰青色の横縞がある。翼は黒褐色だが、縁は赤褐色。

習性

平地から亜高山にかけての森林や疎林などに生息し、市街地の公園や民家の近くなどにも普通に見られる。耕地や人家付近の林に小群で生活する。デデッボウボウと良く鳴く。 植物食で、地表の植物質のものを良く食べるため、豆畑などに加害する。営巣場所は樹上。昼行性で、夜間は樹上の茂みなどでねぐらをとる。

類似種とその識別

ハト類では、シラコバト(非狩猟鳥)は全身が灰色で白っぽいこと、アオバト(非狩猟鳥)は全身が緑色で顔から胸にかけては明るい緑色であること、 カラスバト(天然記念物。非狩猟鳥)は本州中部以南の太平洋岸の離島などにごく少数が繁殖していて全身が黒っぽいことと、キジバトは全体が明るい茶褐色で首の側面に縞模様があることなどにより容易に区別できる。 ドバト(非狩猟鳥)はキジバトよりやや大柄で、翼がやや長い

カツオドリ目ウ科

カワウ カツオドリ目ウ科

分布

全国的に分布する留鳥であるが、北海道では局所的で、九州や四国以南では主に冬に見られる。

特徴

全長およそ80cmでカラスよりずっと大きい。雌雄同色・同大で、全体黒色ないし黒褐色。カモ類に似た体型だが、嘴が細長く先端が鉤状で、尾羽が長い。成鳥では目の後方から下方にかけての頬に、羽毛のない白っぽい裸出部がある。 また、下嘴基部には黄色の裸出部があって後方に丸くわずかに突出する。繁殖期の成鳥は、背面が褐色に変化し、胸部や腹部の黒色とコントラストを成す。

習性

平野部の湖沼や河川、内湾などに生息し、海上に出ることはほとんどない。繁殖時は小島など人気のない場所の林の樹上に巣を掛け、多数個体の集合したコロニーを形成する。コロニーではグガァグガァなど、やかましく鳴声をあげる。

類似種とその識別

非狩猟鳥のウミウとは体型や体色などがよく似ていて識別が難しいが、カワウが淡水域を好むのに対し、ウミウは主に海域に生息する。

 
チドリ目シギ科

ヤマシギ(アマミヤマシギは別種) チドリ目シギ科

分布

全国的に分布。主に冬鳥だが、北海道では夏鳥で、中部地方以北の本州では夏鳥または留鳥。

捕獲制限数

タシギと合計して1日5羽

特徴

全長は約30cmで、胴体はハトぐらいの大きさ。雌雄同色・オスやや大。全体はやや暗い褐色で、黒褐色や茶褐色の細かい斑が点在している。 くちばしが細くて長いこと、頭部が体に比べて大きくオニギリ型であること、眼が頭部の上部やや後方に位慨すること、などが特徴。

習性

平地から山地の森林域やその周辺の草地などのうち、比較的湿気の多い環境に生息する。普通単独でいることが多いが、渡ってきた当初などは数羽が連れ立っている。夜行性で、昼は林床で休んでいることが多い。 動物食で、夜間、畑・水田・山中の道端などで、長いくちばしを地面に刺して虫などをとる。飛び立つ時は、木の梢に向かって高角度で舞い立つ。林内の地上で営巣。

類似種とその識別

南西諸島には非狩猟鳥のアマミヤマシギが分布している。両種は羽の模様や眼の位憧、後頭部の暗色帯の配腫などが微妙に異なるものの、体型、体色、習性などが酷似していて野外での識別は難しい。

タシギ チドリ目シギ科

分布

全国的に渡来。本州中部以北では旅鳥として春・秋季に渡来。ただし、本州中部以南では冬鳥。猟期中は南下するため、雪の多い関東以北では少ない。

捕獲制限数

ヤマシギと合計して1日5羽

特徴

全長は約30cmで、胴体はハトよりやや小さい。雌雄同色・同大。くちばしが非常に長く、全体が褐色で、淡褐色や黒褐色の細かい模様に覆われている。 全体的に淡褐色の横斑があるが、くちばしの付け根から側頭部、眼の後方、ほおにかけては、黒褐色の綿状の横斑が入る。

習性

主として平野部の内陸湿地や水田、ハス川などの泥地に渡来する。警戒心が強く、人などが近づくとその場にじっと身を伏せ、近づきすぎるとジェッと鋭く鳴いてすばやく飛び立ち、雷光型にジグザクに飛翔して舞い上がる。 渡来当初は、十数羽で群れをつくっている。餌は、主に水生昆虫類やミミズなどの動物質で、水辺で採食することが多い。

類似種とその識別

近縁種に非狩猟鳥のオオジシギやチュウジシギ、ハリオシギ、アオシギなどがいるが、いずれも体型や色調が酷似していて簡便な識別ポイントはない。熟達した野鳥観察者でも識別に困ることが多いので注意を要する。

スズメ目カラス科

ミヤマガラス スズメ目カラス科

分布

冬鳥。主に本州西部、四国、九州に渡ってくるが、近年北陸地方や東北地方、北海道などにも現れるようになってきている。

特徴

全長は約50cm弱。雌雄同色・同大。全体がやや光沢のある黒色。成鳥はくちばしの付け根の周囲に羽毛がなく、裸出部は灰白色だが、若鳥ではその部分が羽毛に覆われていて黒色。くちばしはハシボソガラスよりもさらに細く、額が角張って見える場合が多い。

習性

平野部から山地にかけての農耕地などに渡来する。昼行性。ほとんどの場合群れをつくっていて、数十から数百羽の群れで行動することが多い。ハシボソガラスやハシプトガラスの群れよりも密集した群れを形成する。雑食性で、畑などの地上で採食することが多い。

類似種とその識別

ハシボソガラスに似ているが、ミヤマガラスは密集した群れを形成することが多いこと、くちばしの付け根が灰白色であることなどが異なる。 コクマルガラス(非狩猟鳥)の暗色型と呼ばれる個体は全身黒色で紛らわしいが、コクマルガラスはより小型であること、くちばしが体に比べてとても小さく、黒色であることなどにより区別できる

ハシボソガラス スズメ目カラス科

分布

全国的に分布。留鳥。

特徴

全長は約50cm。雌雄同色・同大。ミヤマガラスよりはわずかに大きい。くちばしや脚も含めて全身が黒色で、上面には紫がかった光沢がある。

習性

主として平野部から山地にかけての市街地、集落、農耕地などに普通に見られる。ハシブトガラスよりも開けた環境を好み、森林域や高山帯などにはほとんど見られない。 雑食性で、地上や樹上などで採食。昼行性。秋冬季には耕地に大群で集まることがある。営巣場所は樹上。

類似種とその識別

胴体の大きさは、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラスの順に大きくなる。くちばしの太さ・大きさも、この順に大きくなる。また、頭頂部の丸みも、それぞれに異なる。

ハシブトガラス スズメ目カラス科

分布

全国的に分布。留鳥。

特徴

全長は約57cm。雌雄同色・同大。くちばしや脚も含めて全身黒色で、上面には紫がかった光沢がある。くちばしが強大で、著しく太いことが特徴。 ただし、伊豆諸島や沖縄諸島などのハシプトガラスは、本土産のものに比べて、くちばしがさほど太くないので注意を要する。

習性

主として平野部から亜高山にかけての市街地、農耕地、森林域、海岸など様々な環境に普通に見られる。雑食性で、地上や樹上などで採食する。営巣場所は樹上。昼行性。

類似種とその識別

成鳥では、ハシボソガラスと比べて、額とくちばしとの境の角度が直角に近い。北海道では非狩猟鳥のワタリガラスとの判別が必要であるが、ワタリガラスの方がはるかに大きい。

スズメ目ヒヨドリ科

ヒヨドリ スズメ目ヒヨドリ科

分布

全国的に分布。留鳥だが、国内で季節的に移動する漂鳥。

特徴

全長は約28cm。雌雄同色・同大。比較的尾が長い。全体が灰色で、南方のものほど下腹部を中心に褐色味が強くなる。ほおは茶褐色で、腹と脇腹の羽の縁は白色。くちばしは黒い。

習性

繁殖期が終わって秋頃になると人里へやってくる。主として平野部から山地にかけての森林や疎林に生息。市街地の庭や公園、果樹園などにも普通に見られる。昼行性。雑食性だが、植物質のものをよく食べ、果実や花蜜を好む。 冬期、農作物に加害することがある。波型の独特の飛翔形(羽ばたきと滑翔を交互に繰り返す)を見せるのが特徴。ピィョピィョと甲高い声で良く鳴く。1羽が鳴くと次々に集まってくる。営巣場所は樹上。

スズメ目ムクドリ科

ムクドリ スズメ目ムクドリ科

分布

全国的に分布。留鳥(福島以北では夏鳥)。夏は福島以北で多く、冬は関東以南で多い。

特徴

全長は約25cm。雌雄同色・同大。全体が暗褐色で、オスは頭部が黒褐色。ほおと腰が白色であること、くちばしと脚が明るいオレンジ色であることが特徴。ほおの白色部は個体によって大きさが異なり、ほとんどない個体もいる。

習性

平地から山地にかけての農耕地や市街地などに生息し、人家の庭や公園などにも普通に見られる。昼行性で、夜は竹薮や樹林に大群でねぐらをとる。冬季などには1万羽以上の大群が見られることもある。 雑食性で昆虫類もよく食べ、田畑の虫を大量に採るため、江戸時代からツバメと並ぶ田畑の2大益鳥として大切にされてきたが、果樹等に加害する場合もある。

類似種とその識別

大きさはヒヨドリやツグミ類などに類似するが、暗褐色の地色と白色のほおと腰、明るいオレンジ色のくちばしが判れば特に識別に困ることはない。

スズメ目スズメ科
ニュウナイスズメ

スズメ目スズメ科

分布

全国的に分布するが、分布域はかなり局所的。冬鳥。ただし、本州の山地や北海道の森林では少数が繁殖。

特徴

全長は約14cmで、胴体はスズメぐらいの大きさ。雌雄異色・同大。オスは頭頂から背部にかけての上面と腰が明るい栗色で、腹部は汚白色。メスはより地味な淡褐色、腹面が汚白色で、眼の上部にはっきりとした眉斑がある。 雌雄ともに、スズメにあるほおの黒斑を欠く。

習性

主として平地から山地の集落周辺の樹林地や耕作地などに生息する。昼行性。雑食性で、冬期は地上で草の種などの植物質をよく採食する。繁殖期以外は群生し、特に秋は百羽以上の群れをつくることがある。営巣場所は樹洞など。

類似種とその識別

体型や鳴声、生息環境などが狩猟鳥のスズメにかなり似ているが、スズメはほおに黒斑があることにより区別できる。

スズメ スズメ目スズメ科

分布

全国的に分布。留鳥。

特徴

全長は約28cm。雌雄同色・同大。比較的尾が長い。全体が灰色で、南方のものほど下腹部を中心に褐色味が強くなる。ほおは茶褐色で、腹と脇腹の羽の縁は白色。くちばしは黒い。

習性

繁殖期が終わって秋頃になると人里へやってくる。主として平野部から山地にかけての森林や疎林に生息。市街地の庭や公園、果樹園などにも普通に見られる。昼行性。雑食性だが、植物質のものをよく食べ、果実や花蜜を好む。 冬期、農作物に加害することがある。波型の独特の飛翔形(羽ばたきと滑翔を交互に繰り返す)を見せるのが特徴。ピィョピィョと甲高い声で良く鳴く。1羽が鳴くと次々に集まってくる。営巣場所は樹上。

類似種とその識別

体型や鳴声、生息環境などが狩猟鳥のニュウナイスズメにやや似ているが、ニュウナイスズメは雌雄ともにほおにスズメ特有の特徴的な黒斑がない。